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OB'sコラム

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2008 / file01

褒める

久野智昭
Kuno,Tomoaki

1996年、東京農業大学よりフロンターレの前身、富士通川崎に加入。本職のボランチに加え、サイドもこなすユーティリティープレーヤーとして9年の長きにわたりフロンターレを支える。2005年12月、惜しまれつつも引退。現在、フロンターレ強化部スカウト担当として人材発掘に邁進中。
1973年9月25日生まれ、静岡県出身。170cm、68kg。

現役を引退して、子供たちを指導するようになって3年目の年になります。
日々、指導の難しさや重要性を強く感じています。ジュニアの指導をする時、「褒める」ことの大切さをつくづく感じるようになりました。

褒めることで二つの効果があります。一つは、「褒める」ことによってモチベーションが上がることです。やる気や自発性・意外性のプレーを引き出すことが出来ます。私も現役のときには「褒められる」ことによってミスが減り、積極的にプレーすることができました。それとミスしても次のプレーで取り返してやろうという気持ちになり、ミスを恐れてプレーすることはなくなりました。ミスしないように思っているとミスになったり、ボールを前に運べるチャンスがあるのに、意図のないバックパスになったり判断のミスも増えてしまいます。

もう一つは、チームの雰囲気が良くなることです。「褒める」ことによって、他の子供たちが、自分もそれ以上のプレーを出してやろうという気持ちになり、前向きなプレーが増えてきます。そこで、アイデアが生まれると思っています。コーチなどに教わったプレーより自分で気付いて新たな発見があったとき、それが自分の強固となる武器になると思っています。

教えすぎることによって、子供たちの持っている可能性を奪わないような指導というよりも環境作り(雰囲気)がとても大切だと思います。そして、子供たちがすがすがしく感じ、次の練習が楽しみだという気持ちになり帰宅していくことが重要だと思います。そんな子供たちの顔を見ることで、今の私の活力になっていることは間違いありません。

私も一緒にプレーしながらポジティブな言葉を発することにより、穏やかな顔になり子供たちも伸び伸びできるのです。逆に怒られてばかりいると前向きなプレーや自発性は失われ、雰囲気も悪くなってしまい結果的に子供たちの成長が望めなくなってしまいます。そして、信頼関係までも失ってしまうと思います。
一概に、「褒める」ということがすべてではないと思います。しかし、「褒めると子供がつけあがる、言うことを聞かなくなる」と感じているという人がいたら、その人は、褒め方が下手なだけか、褒め方を知らない、褒めること自体がよくわからない、褒め言葉を知らないだけだと思います。あなたは、褒め言葉を何個挙げられるでしょうか?

「褒める」という事は、私の今までの経験からとても大切だと感じています。「褒める」には観察が必要です。ちょっとした変化に気付き、良い行動を認めて声に出していくことが、褒めることの一歩だと思います。日頃の行動やプロセスがとても重要だということを子供たちが感じてくれることが大切だと思います。

2008年03月24日 久野智昭

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