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OB'sコラム

over the pitch

2008 / file04

U-16秋田国民体育大会 エピソード4

大場健史
Oba,Kenji

1967年8月14日生まれ、神奈川県出身。 Jリーグ創設時の鹿島アントラーズのメンバーとして活躍。その後、柏レイソル、当時JFLの川崎フロンターレに移籍し、闘争心あふれるアグレッシブなプレーでチームを鼓舞し続けたDF。引退後、U-13からU-18まで幅広い年代の強化・育成に携わり、子供たちからの信頼も厚い。現・川崎フロンターレU-15監督。

チームが一つになった勝利

「あと2つ勝てば決勝の舞台に行ける」。食事のときも、移動中でも今日の対戦相手の事ばかり話している。選手の勝ちたい意識は非常に高い。スタンドではすでに神奈川県対兵庫県の試合を観戦に700人近くの観客がもうすでにスタンドを埋め尽くしていた。

地元の小学生が両チームの旗を持ち、選手の入場を待っていた。ミーティングでは、昨日の反省点、今日のゲームの入り方、戦術、そして最後まであきらめない強い意志で戦うことを話した。ピッチ上は非常にコンディションもよく芝が太陽の光で緑に輝いていた。

12:20前半がスタート。神奈川県はテンポ良くボールを動かしグランドをうまく使い攻撃をしていくが、なかなか相手のバイタルエリアに入っていけない。兵庫県はフォワードからのプレスが無くしっかりと3つのラインを保ちゾーンディフェンスで対応。奪ったボールをカウンターでの狙いだった。前日の試合とは内容が違いかなり神奈川は研究されている。神奈川はボールを回しているというより、回されている状態。前半はシュートが2本だけ完全に相手のペースにはまっていた。

ハーフタイムに「相手の守備陣を打ち破るには、縦のポジションチェンジを多くやり、空いたスペースに3人目が入ることを要求した。後は絶対にあきらめない。こんなところで終わらない。」14:10後半戦スタート。ミーティングで話したことを選手たちは流動的にトライしてくれた。得点が生まれたのは後半6分。右サイドのスペースをサイドバックの友澤(桐光学園)が抜け出し深いとこからクロス、中に詰めていたMF古林翔太(湘南ベルマーレ)がヘディングでゴールを決め先制点をとることができた。選手、スタッフは大喜び。ここから兵庫県の猛攻がはじまる。前半とは逆に前線からボールを奪いにきた。「マークをしっかりしろ、あわてるな、声を掛け合え」と選手たちに伝えた。神奈川県のDF陣はGK奥山(フロンターレ)を中心に捨て身のディフェンスでゴールを守った。
次の瞬間チャンスがうまれた。後半27分、自陣ゴールまえでDF大和田(フロンターレ)がボールを奪い前線にフィード。トップでいつもチャンスを狙っていたFW榎本(マリノス)が前がかりになったDFの裏を付き絶妙なタイミングでボールをコントロールしGKとの1対1をしっかりと決めスコアを2-0にした。パス1本でのゴール。すばらしいゴールだった。残り5分、兵庫県もいくつものチャンスをつくるが、一つになったチームを破ることは簡単には出来なかった。そして試合終了のホイッスル。

グランドで倒れこむ選手が多い中、神奈川の選手たちは皆で抱き合い勝利を分かち合った。試合を重ねることで、選手1人1人の絆がでてきた。ゲームは当然勝ち負けがあるが、勝つことで自信が付く。勝つことで次のステップが生まれる。負けたら何も無いと思え。だから絶対に負けたくない強い意志を持ってグランドで戦わなければならない、日本人に足りないところは勝利への執着心を常に持つこと、選手も指導者も!

“あと2試合で優勝だ”気合入れて頑張るぞ!

2008年09月10日 大場健史

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