鬼さんと一緒
2007 / file05
こだわり
鬼木 達
Oniki,Toru
市立船橋高校を卒業後、鹿島アントラーズに加入。1998年、当日JFLに所属していた川崎フロンターレに期限付き移籍。わずか1年で鹿島に戻るも、在籍中、サポーターから「川崎の宝」とまで呼ばれ愛された男は待望の復活。以来、無尽蔵のスタミナでピッチを走り回り、キャプテンとしてチームを強烈に引っ張る。現在、フロンターレ育成普及コーチとしてピッチを走り回る。
1974年4月20日生まれ、千葉県船橋市出身。
「これからは足先だけの技術ではなく、心身を鍛えていきたいです」 これは僕が小学生の時に卒業文集で書いた1文です。
僕がプロで14年間やってこられたのはこの気持ちがあったからだと思います。
僕がずっとこだわってきたのは、強い気持ちです。そして指導者になった今も気持ちの重要性を伝えていきたいと思っています。
僕の場合、身長も低く身体能力にも恵まれなかった。それでも気持ちでは絶対に負けないというこだわりだけでプロとしてやってこられた。小学生の時に心で感じた事。それを現役が終わる時まで持ち続け14年間プロとしてやってこられた事に自信を持てました。 そして深いこだわりは、自分の自信と支えにもなるのだと今も思っています。だからこそ、選手達には小さい頃から色々な事にこだわってほしいのです。
メンタル・技術・体力、色々ありますが1つ1つにこだわりを持ってトレーニングに励んでほしいのです。 そのこだわりが多ければ多いほど、大きければ大きい程、選手として成長すると思います。 人よりこだわった事によって自信を持ってプレーでき、試合でも良いプレーを生み出してくれるのだと思います。
今僕は、指導者の立場として選手達にどうしてもこだわってほしい事があります。
それは基本技術の向上です。これは僕がもっとこだわるべきだったと14年間で1番感じた事です。
そしてそう感じさせてくれたのがジーコです。
後にも先にもジーコより基本技術の優れている人とは出会わなかった。だから彼はスーパースターだったのだと僕は思っています。スピード・パワー・スタミナ、特別なものはなかったと思います。ただケタ外れの技術をもっていました。
その技術はボールを止めたい所に止める。蹴りたい所に蹴れる。
とてもシンプルなものです。しかしこれがどんな状況でも出来るから凄かった。
わかってほしいのは、このシンプルな技術が色々な可能性を引き出してくれるという事です。
逆にこれができなければ、先に進めないのです。
この技術があって初めて想像性溢れるプレーや観客を魅了する事ができるのだと思います。
だからサッカーを本気で楽しむ為にも、トッププレーヤーになる為にも、基本技術の向上にはこだわってほしいのです。
2007年11月01日 鬼木 達