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OB'sコラム

鬼さんと一緒

2008 / file03

レクリエーションゲーム

鬼木 達
Oniki,Toru

市立船橋高校を卒業後、鹿島アントラーズに加入。1998年、当日JFLに所属していた川崎フロンターレに期限付き移籍。わずか1年で鹿島に戻るも、在籍中、サポーターから「川崎の宝」とまで呼ばれ愛された男は待望の復活。以来、無尽蔵のスタミナでピッチを走り回り、キャプテンとしてチームを強烈に引っ張る。現在、フロンターレ育成普及コーチとしてピッチを走り回る。
1974年4月20日生まれ、千葉県船橋市出身。

今回のテーマは「レクリエーションゲーム」です。
昨年ジュニアチームと関わり、今年からユースと関わっている中で、一つ感じたことがあります。
レクリエーションゲームのやり方が下手だということです。レクリエーションゲームの中には楽しむという意味があるのですが、楽しみ方が下手なように思います。ジュニア年代でレクリエーションゲームを行うと収拾がつかない位、メチャクチャになってしまいます。ふざけてスライディングをして、そのまま倒れっぱなしや、自分一人でドリブルをして取られても追わない。何かあるたびに倒れこむなど、ほぼ全員が笑ってプレーしてしまいます。最後にはお互い文句の言い合いもあります。ユースにしてもグランドに倒れこむものはいないが、口だけで体は動かさず、ミスをしても笑って終わってしまう。そこには真剣な場面や局面は見られません。

確かにそこには笑いも起きているし、楽しいのかもしれないが、そこから得るものは何もないように思う。遊びのゲーム、レクリエーションも本気でやるから楽しいのだと僕は思います。例えば鬼ごっこにしても、鬼が歩きで走ってこない鬼から逃げて楽しいのか?
かくれんぼで、かくれる気のないやつを見つけて楽しいのか?答えはノーだと思う。サッカーのレクリエーションゲームもお互いに真剣にやるから楽しくなるものだと思う。
本番の試合ではまだチャレンジしづらい事や、今自分が磨いている技をチャレンジしてみるとか。いつも安全なプレーしか選択しない場面で冒険してみるなど。成功したら今度は本番の試合でやってみる。というように、レクリエーションゲームでしか出来ないこともある。レクリエーションゲームとは真剣にサッカーを楽しめる一番良いものだと思う。

プロクラブの試合前日のトレーニングは、レクリエーションゲームを行うチームが多い。今思うと、レクリエーションゲームを真剣にやっている時代のチームは強かったと思う。鹿島でプレーした時の最初のレクリエーションゲームの緊張感は、今でも忘れられない。レクリエーションゲームという名の紅白戦だった。誰一人手を抜かず、少しでも軽いプレーをすると怒られた記憶がある。特にジーコと同じチームになると負けが許されなかった。
外国人選手はレクリエーションゲームを本当に楽しみながら真剣にやる。そして勝負にもこだわる。これは国柄なのかもしれないが、日本人の感覚とはちょっと違う。
大袈裟かもしれないが、日本人が世界と肩を並べるためには、レクリエーションゲームを含め、自由を与えられた時の遊び方が上手になった時のような気がする。

最後に僕の所属するユースチームが、クラブユースの全国大会出場を決めました。(パチ・パチ・パチ)僕自身は小学生の時と、高校生の時に選手として全国を経験していますが、指導者としては初めてなので非常に楽しみです。ユースはまだまだこれからのチームですが、全国でフロンターレ旋風を起こせるように頑張ってきたいと思います。

2008年06月26日 鬼木 達

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