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OB'sコラム

Soma's Eye

2008 / file01

シーズンオフの過ごし方

相馬直樹
Soma,Naoki

清水東高、早稲田大学を経て1994年、鹿島アントラーズに加入。その後、2002年、東京ヴェルディ1969、2003年鹿島アントラーズを経て、2004年、川崎フロンターレに加入。豊富な経験値でJ1リーグ昇格を支え、2005年12月引退。現在、川崎フロンターレ・クラブアシストパートナー。
国際Aマッチ通算59試合4得点。1971年7月19日生まれ、静岡県出身。175cm、72kg。

新年明けましておめでとうございます。本年も、フロンターレともどもよろしくお願いいたします。

年末年始と各クラブ、各選手の移籍などを含めたストーブリーグの情報が新聞紙上をにぎわせていたJリーグでしたが、そうした動きもそろそろ落ち着き、心新たに新しいシーズンに向けてスタートを切ろうとしているところかと思います。フロンターレも18日に新体制発表会もあって、いよいよ2008シーズンスタートというところですよね。

さて、シーズンスタートに向けて選手たちは、オフをどのように過ごしているのでしょうか?このオフの過ごし方というものは、その後の1年を決めるといってもよいぐらい重要なものです。ですがその過ごし方はとても難しく、僕も現役時代にいろいろと試行錯誤したのですが、自分なりのスタイルを見つけられないまま引退となってしまったという、とても難しい課題でありました。

まず、Jリーガーのオフシーズンはあまり長くありません。昨季フロンターレは12月29日まで天皇杯を戦って、そこからおよそひと月後の1月31日にシーズンがスタートしますので、5週間ほどというかなり十分なオフをとれることになります。ですが通常はもう少し短いことが多く、過去の例や、他のクラブを見ても、1ヶ月弱の4週間ほどから、それよりもさらに短いこともありますし、今季のケンゴや川島のように代表選手などは、事前スタートということで3週間も与えられないなどということもおきます。移籍する選手などは、移籍先のクラブが天皇杯に早く負けていたりすると、20日ごろからスタートなんてこともありますよね。

それから、その期間は年末年始を挟んでいるので、挨拶周りなどの必要もあったりして、1週間から10日間は自由にならないと考えてよいでしょう。そう考えると、残りの期間をどう過ごすのか重要になるのですが、やりたいこと、やらなければならないことに対して時間が短くて、あっという間に過ぎてしまうというのが、実際ではないかと思います。ですから、ある程度計画的に何をするかを決めていくことが重要になってきます。

短いオフとはいえ、ある程度のまとまった時間を使えるのはこの時期だけですから、海外短期留学(練習参加を含む)や、異業種の方や他競技の選手との交流などの時間に当てて、普段とは違った刺激を受けることで、新シーズンへのエネルギーにするということもあります。キャリアサポートセンターの提供するインターンシップなども、大きな刺激になりますよね。また指導者講習会などもこの時期に組まれていますので、指導の勉強をしている選手もいます。

もちろん、バカンスなどを含めたリフレッシュも、激戦を一年間戦い抜いた選手にとって重要なことです。まさにそうした「オン」と「オフ」の切り替えは重要で、新しく迎える長く厳しいシーズンを乗り越えるだけのエネルギーを蓄えなければなりません。

こうしたこと以上に重要かつ、難しいのがコンディショニングとなります。先にも書いたように身体を休ませることの重要性とともに、シーズンインに向けて身体を動かしていくことが必要なのです。そして選手によっては、「肉体改造」のような、新しい取り組みにチャレンジしていく場合もあります。こうした、オフでありながらもシーズンのことを意識して過ごさなければならないというのが、プロ選手のオフシーズンではないのかなと思います。

昨季のフロンターレは、Jリーグ34試合、ナビスコカップ5試合、天皇杯4試合、ACL8試合と、計51の公式戦を1年間で戦い抜きました。オフを除いた44週間でこれだけのゲームをこなしたのですから、相当なダメージが残っているはずです。この疲れ、ダメージを、休むことによって取り去っていくのですが、ただベタッと休むことだけでは取れなかったり、いいスタートが切れないことが多いのです。こうした傾向は年齢を重ねていくと特に顕著になってくるのではないかと僕の経験では思います。若かった頃はそれこそ何の自主トレもしないままシーズンインしても、キャンプなどを余裕でこなせたものでしたが、年齢が上がるごとに身体作りに時間がかかるようになっていったのでした。ですが、そうしたことに気づくのに時間がかかって、休みすぎてしまったなんていうこともあったり、逆に張り切りすぎてオフから追い込みすぎて、シーズン中息切れしたりなどということもあったり、「休み」と「トレーニング」をどう取り入れていくのかは、本当に難しかったのを覚えています。ですが、このオフシーズンで一番大切なことは、心のリフレッシュになると思います。毎年毎年、どんな選手もいいシーズンにしたいと思ってスタートするわけですが、思ったようなシーズンにならないことのほうが多いわけです。そうした中、新たな決意を持ってシーズンを迎えること、そして一年間戦い抜く気力を取り戻しておくことは、本当に大切なことです。だからこそ多くの選手が刺激を受けるために、オフにいろんなことをするわけですしね。

ぜひとも31日には、08シーズンフロンターレのメンバー全員が、元気なやる気に満ちた顔でシーズンインをしてもらいたいですね。そのエネルギーこそが、初タイトル獲得への原動力になるのではないかと思います。

2008年01月21日 相馬直樹

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