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2005 / file23

祝・日本代表選出!

向島 建
Mukojima,Tatsuru

1966年1月9日静岡県生まれ。静岡学園高-国士館大-東芝を経て1992年清水エスパルス入団。1993年Jリーグオールスター戦出場。1997年川崎フロンターレへ移籍。以来2001年の引退まで要衝としてチームを支える。2002年から川崎フロンターレフロントスタッフ。2003年にはフットサル日本代表候補に選出。「SUKISUKI!フロンターレ(iTSCOM)」やサッカースクール・サッカー教室・講演・フットサル解説など川崎のサッカー伝道師として多方面で活躍中。

9月27日(火)、川崎フロンターレ初の日本代表・箕輪義信が誕生した。
しかも29歳という年齢での選出は珍しく、これまで自分を高め真面目に努力してきた証しだろう。

今回、東欧遠征でラトビア、ウクライナと親善試合を行った。2006年W杯出場を決めている日本は、開催国ドイツで欧州のチームと戦うことになるため、この遠征はその準備といってもよかったのだろう。特に日本の守備陣は欧州の大柄なFWを相手に激しい戦いを繰り広げなければいけない、その対抗できる選手としてジーコ監督が注目したのが箕輪選手だった。

今シーズンJ1リーグの試合で安定した仕事をしてきた。外国人CFが多い中、特にヘディングでは負けることはなく1対1でも身体の強さを思う存分発揮した。苦手だったスピードとテクニックあるドリブラーに対しては、間合いやポジショニングなどこれまでの経験を生かし、頭を使ったプレーで相手のFWの良さを事前に消すことで、自分のウィークポイントを露呈することがほとんどなくなり安定した守備ができた。

10月6日(木)18時半(現地時間10月6日(木)12時半)、遠征先の箕輪選手から電話があった。いつもと変わらず普通に「タツルさん!元気ですか!」最初の声のトーンと口調から上手くチームの雰囲気に溶け込め、いい感じで日本代表に合流できたことが感じ取れた。話の中で彼が言った言葉は「とにかく楽しい!サッカーをするのが楽しいよ!」これが本音だと思うし、サッカー選手本来、理想の姿なのだろう。「代表に行ってどう?」と聞いてみると「初めてここに来たけど選手たちは、今相手が何を考えているのか感じ取ることができて、他の選手たちに上手く合わせることができるんですよ!今何をしなければいけないか瞬時に判断できるんで、すんなり代表に溶け込めましたよ!だからプレーしやすいしチームの雰囲気がいいんですよね!」という言葉が返ってきた。

海外組だろうと日本組だろうと目的意識がはっきりしていて、日本代表として誇りを持ち、チームとして戦わなければいけないことをしっかりと理解している。技術的な部分で能力が高いことも勿論あるが、その他のプラスαを代表選手たちは持っていると思う。サッカーはいろんな状況がある、メンバー構成、システム、相手もいる、環境など様々なことに対応し瞬時に判断してプレーしなければいけない。90分の中で一人がボールを触っている時間はとても少なく、味方や相手やボールを見て動いている時間のほうがはるかに多い。どんな状況であろうと、その状況をしっかりと把握したうえで上手く適応し能力を発揮することができる選手が、いい選手の条件の一つでもあると、あらためて箕輪選手の言葉から感じることができた。

好調のフロンターレから日本代表選手が選出されたことで、彼を目指し目標とする選手もいるだろう、チームとしていい刺激になり一人一人のレベルアップも図れるかもしれない。箕輪選手の日頃からの努力が報われ、川崎フロンターレにとっていい流れを運び、歴史に残る貴重な存在になった。最後に彼から頼もしい言葉が返ってきた。「やれると思う!こんなこと言ったら浮き足立っていると思われるかもしれないけど、そんなつもりはまったくない。でも代表でもやれると思う!」謙虚さを常に忘れず、どんな相手であろうと問題ないというJで培った実績と経験に裏付けられた大きな自信を感じさせてくれた。

結局、箕輪選手は第2戦、ウクライナとの試合に後半、途中出場した。流石に代表の試合は見ている私たちにも緊張感が伝わってくる。一人少なくしかもアウェイという不利な状況で日本は苦しい戦いを強いられた。途中ゴール前で箕輪選手が相手選手にアンラッキーなPKを与えてしまった場面もあったが、見ている限りでは堂々とプレーしていて存在感があった。力を出せたか?出せなかったのか?代表での手応えを感じることができたのか?それは初代表としてピッチに立った本人しかわからない。

日本は惜しくも破れたが、代表として箕輪選手は東欧遠征で貴重な経験を得た。今後また日本代表に選出されるかはジーコ監督の構想など判断にかかっていてわからないが、今回の選出によって箕輪選手自身、プロサッカー選手として今後、更なる飛躍に繋がっていくことになるだろう。彼ならこの経験を十分活かせるはずだ。これからも注目されることが多いと思うが、残されたJ1リーグ戦に集中し、自信を持って自分のプレーを表現し、チームのため多くのサポーターのために勝利に貢献してほしい。
箕輪選手が川崎に明るい話題を与えてくれたことは言うまでもない。

2005年10月26日 向島 建

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