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OB'sコラム

Tatsuru'sチェック!

2005 / file24

気をとりなおして!

向島 建
Mukojima,Tatsuru

1966年1月9日静岡県生まれ。静岡学園高-国士館大-東芝を経て1992年清水エスパルス入団。1993年Jリーグオールスター戦出場。1997年川崎フロンターレへ移籍。以来2001年の引退まで要衝としてチームを支える。2002年から川崎フロンターレフロントスタッフ。2003年にはフットサル日本代表候補に選出。「SUKISUKI!フロンターレ(iTSCOM)」やサッカースクール・サッカー教室・講演・フットサル解説など川崎のサッカー伝道師として多方面で活躍中。

最近Jリーグで、どうも後味の悪い試合が多いと思うのは私だけでしょうか…
先日行われた第29節、浦和レッズvs川崎フロンターレは、両チーム上位に進出するためにも重要な一戦だった。
4位浦和(勝点47)、5位川崎(勝点46)、浦和のホーム埼玉スタジアムには37,593人もの観客がこの好カード、そして選手たちの好プレーを味わおうと楽しみに足を運んだが、そんな注目の一戦を主審の不可解な判定により、見ている多くのサッカーファンをがっかりさせてしまう結果となった。

浦和のこれまでの戦い方を見ても、アグレッシブな内容が予想されていただけに主審のゲームコントロール次第で試合が荒れ面白くなくなってしまう恐れがあったことは確かだが、試合開始直後からイエローカード連発で、両チーム試合のいいリズムや選手の好プレーまでもが消されてしまった。

サッカーというスポーツは人により裁かれ人によりコントロールされるだけに、当然90分間にミスジャッジはあり、それを理解し覚悟した上で選手たちは試合を行う必要はあり、運をも自分たちに引き寄せるくらいの強さがなければ本当に強いチームとは言えないのかもしれない。

しかし、これまで私は現役で長い間プレーし、チームスタッフとしても多くの試合を観てきたが、この日ほど主審の判定に疑問を抱いたことはなかった。けしてフロンターレだけに不利な判定だったとは思わない、浦和にとっても同じことが言えると思うが試合を決める肝心な場面での判定に大きなミスがあり驚かされ理解に苦しんだ。試合終盤では、主審の曖昧な判定に副審が気の毒に思ったのか自ら試合をコントロールする始末だ。終わってみればイエローカード10枚、レッドカード1枚と両チームにとって後味が悪い内容だった。華でなければいけない選手が目立つのではなく一番目立ったのは主審で、この試合のMVPとも思えるほどだった。

この日は民放TVでも全国放送され子供から大人まで多くのサッカーファンが楽しみながらこの試合を観戦していたはず、主審の判定に解説者などからも驚きの声が聞こえるほどで、主審のレベルの低さに不愉快な気持ちになった人もいたことだろう。翌日の新聞には主審に関する多くの記事が掲載されるほどで、それだけ試合への影響力があり責任ある立場であったことをあらためて感じたのではないか。

サッカーは世界一のスポーツで人気があるが、この日の主審のようなゲームコントロールが続いたときには素晴らしいスポーツであるサッカーが壊されそうで恐ろしい、これからサッカー人気が下降しないことを祈りたい。
私が選手の立場を考えると、毎日試合に向け真剣に一生懸命練習に取り組み、それほど長くない選手生活を勝負している選手たちが可愛そうで仕方ない。

そうは言っても、これからもサッカー選手と審判は切っても切り離せない永遠の間柄である。審判のレベルがその国のサッカーを表すとも言われているだけに、共にレベルを上げながら成長していくことが大切である。私たちを含め、Jリーグやクラブが選手に対して、できるだけ倒れず、プレーを止めないプレミアリーグのように、たくましい選手になるよう指導していかなければいけない。Jリーグのように倒れている選手により試合が頻繁に止められ、ボールを返して拍手を貰うこともフェアープレーでいいかもしれないが、転んでも直ぐに立ち上がってボールを追いかけるほうが何倍も見ていて気持ちがいい。子供たちに夢を与える選手たちの役目としても、転んでも立ち上がりプレーを続ける、それが自然にできるようなタフな選手になることが必要だ。

また同時に審判にもしっかりとした指導をしてほしい。どうしたらいいかは具体的にはあげられないが、ピッピッ!ピッピッ!笛を鳴らすのではなく、しっかりゲームをコントロールしているかが重要で、不信感を与えることなく誰からも信頼されるような審判を育成してほしい。セリエAなどで活躍したコリーナという有名な主審がいたが、彼はピッチでとても表情が豊かだ、これは経験ということからも言えるのだが、どんなゲームでも自分ならコントロールができるという自信、選手との信頼関係がしっかりできているからこそ出せるいい表情だ。選手と審判お互いが尊重し合えることが、いいゲームにつながるのかもしれない。

川崎フロンターレは素晴らしいサッカーをしたが浦和に敗れ連勝は途切れてしまった。
「気をとりなおして!」この言葉しか思いあたらない。
私がチェック!した理由「何があっても選手は、黙って次の試合に向け準備をするしかないのだから…」

2005年11月11日 向島 建

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