10/ 3 (木) 2013
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算数ドリル実践授業
text by
広報部
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問題を解きながらフロンターレや川崎のことを楽しく知って学べる「川崎フロンターレ算数ドリル」。現在、市内公立小学校に通う全小学6年生、約1,4万人に配布し、算数授業の副教材として使用されています。2009年に制作、配布がスタートしましたが、この算数ドリルに出題されている問題を選手が市内小学校を訪れ、児童と一緒に体を動かしながら学ぶ「算数ドリル実践学習会」も2009年より開催しており、今年で5回目となります。
今年、この会に参加したのはヨシトこと大久保嘉人選手とナツこと棗佑喜選手の2人です。ちなみに昨年は、「国際交流を!」という狙いもあり、ジェシ選手とレナト選手とレネ サントス選手に3人が参加。会場となった菅生小学校(宮前区)の児童と言葉の壁を乗り越えて楽しく授業を行いましたが、さて今年はどうなるでしょうか。
今年、実践学習会をおこなった学校、児童は、多摩区にある川崎市立登戸小学校の小学6年生のみなさんです。今まで実践学習会を開催した学校で対象となる小学6年生の数が三桁になることはありませんでしたが、登戸小学校の小学6年生の数は何と、4クラスの総勢140名!短い時間ながら楽しく、そして充実した実践授業をこの史上最多数の子どもたちに展開できるか、この日参加するヨシト、ナツの“腕”ならぬ“足”の見せどころです。
授業前の2人は、「俺、人見知り発揮しちゃうかもしれん」と意外と緊張気味なヨシトでしたが、スタッフに「またまた、そんなことないでしょう! 3人も子どもいるんだから大丈夫」と笑われていたり、ナツはどうやら小学校の時、1クラスしかなかったようで、ヨシトと昔話で盛り上がっていたりと和やかな雰囲気でした。算数のテストで「0点何度もとったことあるよー」というヨシトに対し、ナツは「算数そんなに苦手じゃなかった」と学生時代の様子が目に浮かぶような発言も(笑)。スタッフに「先生から2人も一緒に計算してくださいと言われたら、子どもたちと一緒に計算してね」と説明されると、すかさず「いやー、それはナツメの役割でしょ。うん、ナツ、ナツ」とさっそく計算苦手発言連発です。
授業が始まる頃の天候はまだ小雨で、校舎から登場した2人を140名のみんなが元気よく拍手で迎えてくれました!
みんなと対面し、まず始めにヨシトとナツから挨拶をしました。まずヨシトからは「大久保嘉人です。今日は楽しみながら授業をやっていきましょう」と。ナツからは「雨の中ですけど、元気に楽しく学習していきましょう」と若干まだ緊張気味な2人でしたが、生徒たちはみんな笑顔いっぱいでした。
元気いっぱいの子どもたちが着ていた体操着。何やらみんな背中に漢字が一文字書いてあり、疑問に思ったヨシトが先生にきいたところ、どうやら運動会の時にみんな好きな漢字を書いたとのことで、「なるほどね」と感心していたヨシトでした。
いよいよ授業開始! ということで、ヨシトグループとナツグループに分かれてウォーミングアップを始めていきます。
まずはヨシトグループ。みんなで軽めのランニングをしたのですが、先頭を走るヨシトの周りに続々と生徒たちが集まってきていて、アイドルばりの人気。スタッフが「ヨシト、人見知りだからみんなどんどん声かけてあげてね」と言われると「はーい!」とみんな元気よく返事してくれました。
ヨシトと言えば、やはりシュート!ということで、こちらのグループは【シュートの速さを測って色んな物の速さと比べる】問題を解いていきます。まずはみんなでヨシトがどれくらいの速さのボールを蹴れるか、予想スタート。そしてこのとき、ホワイトボードに貼られた問題文を見て、ヨシトの表情が少し引きつっていたのをスタッフは見逃しませんでしたよ(笑)
ですが、先生から「これを当てた人はすごいよ、大久保選手に何かしてもらえるかもしれません!」といったフリもあり、ヨシトも思わず笑顔に。チーターやライオンなど動物の走る速さや、みんなも普段から乗っている車の速度と比べて、ヨシトのシュートがどれくらい速いのか考えていきます。生徒たちからは「秒速?」という言葉も出てきて「さすがにそんなに速くないよー」と笑って会話もしていました。
そしていよいよシュートスピードの計測へ。みんなゴールの周りに集まり、ヨシトがどんなシュートを放つのかとてもわくわくしている様子でした。そんな中、まず1発目はというとドン!とボールを蹴った瞬間、とても大きな音がしてみんなもびっくり。速さは計測器の不具合でうまく測れず…気を取り直して2発目。こちらは98km!「すっげー!」「ほんとに速い!」とみんなヨシトのシュートに大盛り上がり。さすがリーグ得点王を争う男のシュートは力強さがあります。
まだまだシュートを見たい!ということで蹴った3発目はなんと103km!この記録は2011年の山瀬功治選手の105kmに次ぐ速さということでスタッフも驚いていました。この速さは動物と比べるとライオンが走る速さよりも速いんですよ。おそるべし、ヨシト。
一方ナツのグループは、【7秒後、みんなで一緒にゴールするためには何m前からスタートしたら良いかを考える】問題です。まず最初は、ナツの「いっちにーさんしー!」の掛け声に続いてみんなで元気よく声を出しながら準備体操からスタート。そのあとは本番走るレーンを軽く走り、いよいよ本番へ。まず、ナツがどれくらいのタイムで50mを走り切るか計測していきます。生徒たちが見守る中、全速力で走ったナツのタイムは6.39秒!確かにすごく速い記録ですが、身長が高いナツが走るとさらに速く見えたような気がします。そのあとは生徒たちみんなと一緒に走りましたが、ぶっちぎりの一等賞をとってしまうナツの意外に大人気ない一面も垣間見えました(笑)
そしてナツのタイムと自分のタイムが測れたら、選手のタイムを基に7秒間で何m走れるかを計算し、それから自分のタイムも同様に7秒間で走れる距離を計算します。そして出た答えの地点から走ってみると、選手と同じタイミングでゴールができる!というこの問題。ここの計算が大事になってくるんですよね。子どもたちはみんな時間をかけて一生懸命答えを導いていました。ナツも一緒に問題を見ながら考えていると、「どうしたらそんなに背が伸びますか?」や「どうすれば棗選手みたく速く走れますか?」と子どもたちに聞かれ、「朝ごはんをしっかり食べて、睡眠をたくさんとれば大丈夫だよ」と丁寧に答えていましたよ。ちなみに朝ごはんは何派?の質問には「ご飯だね」とのこと。やっぱり身長184cmのナツは子どもたちからはとても大きく見えていたんですね。
そして計算が終わると女の子が計算式を発表してくれ、それぞれ自分が何m地点から走ればナツと一緒にゴールできるか、求めてくれました。雨が少し降っていましたが、いよいよ実際にナツと子どもたちのスタート地点に差をつけて走ってみることに。ここから子どもたち全員と走るため、計3本走るのですが、うっかりしていたナツは「最初に全力で走っちゃった。そのタイムが基になるんだね」と重大なことに気付いた様子(笑)スタートラインがすごく前の方にいる子たちを見て「みんなゴール近すぎでしょ!」と思わず笑っていましたが、それでも、いざ「よーいドン!」の掛け声でスタートするとやっぱりかなり速いナツ。ほぼみんな一緒にゴール出来ていました。一緒に走った女の子も「棗さん、すごく足が速くて感動しました!」とテンション高めに話してくれました。
こちらは無事終了し、雨が少し強くなってきたので体育館へ移動。途中で先に移動していたヨシトグループと合流し、再び全員集合。
先生から「今日のようにプロ選手のシュートが間近で見られたり、一緒に走れる機会はなかなかないからね」とコメントしていただいたあとに、締めくくりとして2人からパフォーマンスを披露することに。
会場には「ヨシト!ヨシト!」とみんなから期待の大コールが。まずはヨシトから、ナツが投げるボールをボレーでシュートするというもの。1、2発目はやっぱりプロの意地なのか、かなり本気なシュートでゴールのバーや壁にあたってしまいます。「バゴン!」ととてつもない音が響き、我々もびっくりするほど、かなりの迫力がありました。3発目はヨシトも勢いをつけて打ったため床に倒れてしまうほど真剣に挑戦しましたが、これも惜しくも外れてしまいます。そして迎えた4発目!とってもとっても綺麗なボレーシュートが決まり、入った瞬間に「おおー!!」とみんな思わず拍手。さすが最後はしっかりと決めてくれ、ヨシトも笑顔に。
そして先生から「棗選手のシュートも見たいよね?」とフリが。なんとナツは長身を生かそう、ということでヨシトが投げるボールをヘディングでバスケットゴールに入れる!というかなりハイレベルな挑戦をすることに。
いざスタートしてみると3発目までかなり惜しく、「あと少し!」というところまで狙えていたナツ。普通にやっていますが、これは相当難しいはずです。そしてヨシトが決めた4発目にナツも、ゴールに吸い込まれていくような綺麗なヘディングシュートが決まりました!これには、いつもクールなナツですが、思わず両手を広げて喜んでいましたし、会場もこの日一番の歓声で盛り上がりました。見ていたスタッフや報道陣も「すごいな、ナツ!」「ナツもってる男だな!」と驚きの表情でした。
みんなのボルテージが最高潮に達したところではありましたが、楽しい授業も終わりに近づいてしまいました。最後に2人から「今日は本当に僕らも楽しかったです。これからもみんな勉強頑張ってください」と挨拶があり、授業は終了しました。
このあと記念撮影をし、撮った後にはみんなから握手を求められ、大人気の2人でした。参加してくれた小学6年生4クラスのみんなに2人からサイン入りのトレカを1人1人、直接プレゼントしました。笑顔で教室に戻っていく子どもたちに今日の感想を聞いてみると、「このカード、家に帰ったら額縁にいれて飾る!宝物です」「2人と握手もできたし、お話しできた!」「カードがもらえて嬉しかった。お母さんに自慢します」「大久保選手のシュートがすごかった!試合も観に行きたい」「棗選手と一緒に走れて嬉しかった」などみんなとっても嬉しそうに話してくれました。ヨシトとナツもどんどん子どもたちに声をかけていたのが印象的です。
そんな2人に短い時間ではありましたが、一緒に授業をしてみた感想を聞いてみました。ヨシトからは「今日の授業内容は自分も勉強になったね。有意義な時間やった。こんな授業は自分の子どものころにはやったことないんでね。もしあったら教室で勉強するより楽しいし、算数好きになってたかもね。(自分が)算数ドリル下巻の表紙になっているけど、勉強道具ってみんな開きたくなかったりするんやないのかなーって心配してたんやけど、全然そんなことなかったね。あと、びっくりしたのがみんな先生の質問にどんどん手を上げて答えてたことね。俺の頃なんてみんな発言してなかったよ。俺はもちろん寝たふりしてた(笑)最後のボレーは芝だったら1発で決めてたんですけどね、床に落ちたらやっぱ痛いじゃないですか(笑)」と算数ドリル実践授業の効果や今日の思い出をヨシトらしい言葉で話してくれました。
一方のナツは最初に算数はそんなに苦手じゃないと話してくれましたが、今日の授業はどうだった?と聞くと、「今日のはちょっとやばかった。少しむずかしかった。このくらいまでがギリギリのところ(笑)」とのこと。「50m走では走る回数も多く、予想外で、ちょっとバテ気味だったけど駒澤魂を思い出して走り切りました!」と子どもたちの前でしっかり頑張ってくれたナツでした。
この日みんなが使用した「フロンターレ算数ドリル」は、今から遡ること4年前の2009年、中原区にある川崎市立上丸子小学校の小学6年生を対象として配布、使用されたのが始まりです。
その翌年の2010年からは川崎市内の全小学6年生に配布され、この日の登戸小のみんなのように算数の授業で使用されています。また、2011年からは、このドリルの教育的価値が川崎市にも認められ、制作予算補助を受けて継続しています。
このドリルの制作は、フロンターレのスタッフ、上丸子小学校の蟻生先生を中心とした算数教科専門の先生、教材作りの専門家、ページレイアウトをおこなうデザイナーさんがタッグを組み「フロンターレ算数ドリル作成委員会」を組織。学校で使用される副教材として成り立ち、尚且つ遊び心あふれる楽しいドリルになるよう日夜、知恵を絞って作っています。
フロンターレ算数ドリルは、年2回制作されていますが、この程、今月10月から来年3月の卒業まで使用される「下巻」が完成。大久保選手が表紙を飾っているドリル下巻が、市内全校の小学6年生に配布されました。
「上巻」には、川崎市多摩区にある藤子・F・不二雄ミュージアムの協力により、ドラえもんやパーマンが登場。
【ドラえもんの身長と選手の身長を比べる】問題や、【パーマンが選手を乗せて空を飛ぶ速度の】問題など、地元団体とコラボした楽しい問題が出題されていましたが、今回配布された「下巻」も、多摩川の清掃活動を題材とした問題や、今年7月にヨシトが達成したJ1リーグ通算100ゴールにちなんだ問題など、答えを導くのがワクワクするような内容になっています
1人でも多くの川崎の子どもたちが算数をもっともっと好きになり、勉強が楽しくなる手助けをフロンターレは今後も続けていきます!
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